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MEDIUM-TERM MANAGEMENT PLAN

中期経営計画

「EIDAI Advance Plan 2026」

-安定した経営基盤の構築と収益力の強化を図り、
すべてのステークホルダーから信頼される企業へ-
(2025年3月期~2027年3月期)

1.中期経営計画策定にあたって

 当社グループでは、2023年2月18日に当社の敦賀事業所パーティクルボード工場におきまして、社員1名がチップサイロにて亡くなる事故が発生し、さらに、5月13日に同工場におきまして、社員1名が死亡、3名が負傷する火災事故が発生しました。また、同日、連結子会社のENボード株式会社におきまして、負傷者等はなかったものの、建屋外のボイラー付属設備の一部で火災事故が発生しました。災害により、貴重な人財を失ったことにつきましては、誠に遺憾であり、多くの方々に多大なるご迷惑、ご心配をお掛けしましたことを深く反省しております。

 また、2018年9月の台風被災により大きく悪化した業績を立て直すため、中期経営計画「EIDAI Advance Plan 2023」を策定し、各施策に取り組んでまいりました。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大、ウッドショックといった外部環境の変化への対応が遅れ、目標達成に至らず収益力が大きく低下し業績はさらに悪化しました。2024年3月期は6期ぶりに営業黒字を計上いたしましたが、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するためには、安定した経営基盤の構築と収益力の強化が喫緊の課題と改めて認識しております。

 このような現状を踏まえ、事業活動の根幹を成す従業員の安全を大前提として、2025年3月期を初年度とする中期経営計画「EIDAI Advance Plan 2026」を策定いたしました。

2.基本方針

 当社は、「木を活かし、よりよい暮らしを」という基本理念のもと、地球・社会・人との共生を通じて豊かで持続可能な社会の実現に貢献する企業であり続けることを目指しております。さらに、健全で透明性の高い経営とステークホルダーから信頼される事業活動を通じて、サステナビリティを巡る課題に積極的に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。

3.「EIDAI Advance Plan 2026」の概要

(1)事業環境

 今後のわが国経済は、雇用・所得環境が改善するなか、国内経済は各種政策の効果によって緩やかな回復基調を維持するものの、地政学リスクの高まりや海外経済の下振れ懸念など、景気を下押しするリスクに留意が必要な状況が続くと見ております。

 住宅業界におきましては、住宅価格の上昇や住宅ローン金利の先高観により住宅取得マインドが低下しており、政府による住宅取得支援策が引き続き住宅需要を下支えするものの、建築コストの上昇が住宅需要を抑制する状況に大きな変化は見られず、新設住宅着工戸数は低調な推移が続くと考えております。

(2)数値目標

《連結》

  単位 2023年3月期(実績) 2024年3月期(実績) 2025年3月期(計画) 2026年3月期(計画) 2027年3月期(計画)
売上高 (百万円) 69,787 71,665 72,000 74,500 76,500
営業利益 (百万円) △1,143 368 250 800 1,000
経常利益 (百万円) △1,309 321 50 600 800
親会社帰属当期純利益 (百万円) △1,104 3,219 200 500 550
EBITDA(※1) (百万円) 1,473 3,830 3,850 4,500 4,750
売上高経常利益率 (%) 0.4 0.1 0.8 1.0
ROE (%) 7.6 0.6 1.4 1.5
PBR (倍) 0.24 0.29 0.29 0.29 0.34

※1 EBITDA=税金等調整前当期純利益に特別損益、支払利息および減価償却費を加算した値です。

(3)資本政策・収益計画の基本方針

1)資本政策

資本政策の基本方針は、株主価値の持続的成長を目指し、事業拡大の機会を迅速、確実に捉えるために必要となる十分な株主資本の水準を保持するとともに、安定した配当を確保しつつ、自己株式の取得を必要に応じて検討することとしております。

2)収益力・資本効率に関する目標

2018年9月の台風被災以降は業績の低迷により、株価、ROEともに低い水準で推移しており、PBRは1倍を下回る状況が続いております。当社グループは、中期経営計画の達成による収益力強化を図り、ROE、PBRの向上に努めてまいります。
なお、収益力に関する目標につきましては、将来的に売上高経常利益率3%以上を目指してまいります。

(4)重点施策

【5つの重点施策(5つの柱)】

1)安全についての取り組み

2023年の2件の重大事故を教訓とし、二度とこのような事故を再発させないよう、グループ一丸となって、従業員の安全意識の高揚を図るとともに、全ての従業員が安全に業務を行えるよう職場環境整備を推進してまいります。

<施策>

  • 「安全と健康はすべてに優先する」ことをあらためて全社に宣言
  • 安全教育の工夫、運用方法の定期的な見直しにより、個人レベルでの安全意識の高揚を図ります。
  • 定期的に設備、作業環境のチェック行い、災害を未然に防ぐために適切な投資を行います。
  • 外部コンサルタントによるリスクアセスメント実施及び指摘事項に対し対策を実施します。

2)お取引先様及びエンドユーザー様にご満足いただける製品品質とサービスの提供

当社では、設計、製造から販売に至るまで、「お取引先様及びエンドユーザー様にご満足いただくこと」を最優先とし、お客様の声に耳を傾け、以下の取り組みを実行し、製品品質とサービスを高め、供給責任を果たすことにより、さらなる信頼の向上に努めてまいります。

<施策>

  • 設計・製造の各プロセスにおいては、設計段階でのレビューの充実、設備の改善、更新をはじめ、ISO9001(QMS)に基づいた品質管理体制を徹底強化してまいります。
  • 販売においては、市場ニーズを把握し、販売政策へと展開することにより、質の高いサービスの提供に取り組んでまいります。
  • 二次元コードを利用した物流管理システムの活用により、トレーサビリティの向上と物流業者様を含めた取引先様での作業の軽減などを通じて、物流2024年問題に対応し質の高いサービスを提供してまいります。
  • 原材料価格の変動に対しては、常に様々な角度からのコスト低減を継続するとともに、適正価格での販売を通じて、供給責任を果たしてまいります。
  • 生産設備の自動化やITシステム導入による業務の効率化を推進し、全社的な生産性の向上に取り組んでまいります。
  • 下請中小企業振興法に基づく「振興基準」を遵守し、サプライチェーン全体の付加価値向上、取引先企業の皆様との共存共栄を目指してまいります。

3)住宅資材事業でのシェアアップと新設住宅着工戸数に依存しない事業構造への転換

    ア.
  • 住宅分野でのシェアアップ
  • 今後も新設住宅着工戸数は低水準での推移が見込まれますが、当社の主力である住宅分野においては、多様なニーズを取り入れた製品開発とライフスタイルの変化に合わせた製品の拡充に取り組み、効果的な販売促進策を通じて、これまで以上のシェアアップと売上の拡大を図ってまいります。

 <施策>

  • 製品開発においては「マーケットイン」を重視し、主力ブランドである「Skism(スキスム)」の拡販はもちろん、フローリングの「銘樹」やドア、収納のハイエンドモデル「グランマジェスト」といった独自ブランドの拡充はじめ、機能性、デザイン性、安全性に優れた魅力ある新製品をいち早く市場に投入してまいります。
  • 建築現場や物流現場における人手不足、施工現場でのゼロエミッション等に対応するため、プレカット製品の拡充を進めてまいります。
  • 販売促進活動においては、ホームページでの施工例コンテンツ立上げやSNSを積極的に活用し、エンドユーザーの認知度向上を図ってまいります。
    また、当社のオンラインシステム「EDnet+(イーディーネットプラス)」をはじめ、特約店様・販売店様とのシステム連携を推進し、引き続きお客様との関係強化を図ってまいります。
    イ.
  • 新設住宅着工戸数に依存しない事業構造への転換
  • グローバルリスクによる市況の悪化、さらには人口減少や世帯構成の変化といった構造的な要因により、新設住宅着工戸数は低水準での推移が見込まれますが、当社のさらなる売上の拡大と将来の事業基盤を強固なものとするため、以下の取り組みを実行することにより、事業構造の転換を加速し、事業領域の拡大と収益力の強化を図ってまいります。

 <施策>

  • 国内においては、文教施設や医療施設、商業施設、宿泊施設に対応する製品の拡充及び特注対応を含めた販売体制を強化し、非住宅分野の開拓と拡販を推進してまいります。
  • リフォームに適した省施工、短納期製品の充実を図ってまいります。
  • 海外事業においては、永大ベトナム(Eidai Vietnam Co., Ltd.)の安定した資材調達、生産、日本国内への供給を継続するとともに、ベトナム国内外での販売を拡大してまいります。

4)木質ボード事業の強化、拡大及び住宅資材事業との相乗効果の発揮

ENボード株式会社の事業計画を必達させるとともに、同社を最大限に活用し、以下の取り組みを通じて、木質ボード事業の拡大と収益向上を図ってまいります。

 <施策>

  • ENボード株式会社の月間15,000トンの安定的な生産体制を確立してまいります。
  • 化粧用や木工用PB以外に、高品質の構造用、フローリング基材用PBを製品ラインナップに加え、売上拡大と収益向上を図ってまいります。
  • PBの新たな用途を開発し、住宅資材事業の製品へ積極的に採用するなど、材料から製品までを一貫して生産できる体制を構築することにより、調達コストと製品供給の安定化に取り組んでまいります。

5)サステナブル経営の推進

「木を活かし、よりよい暮らしを」という基本理念のもと、健全で透明性の高い経営とステークホルダーから信頼される事業活動を通じて、サステナビリティを巡る課題に積極的に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。

    ア.
  • 環境(E) ⇒ 事業を通じた循環型社会の実現

 <施策>

  • 資源循環の取り組み
  • 木質ボード事業における未利用材、端材建築解体材などの有効活用と木材循環利用
  • フローリング等へのPB利用比率の拡大
  • 温室効果ガス(GHG)排出量削減の取り組み
  • 2050年カーボンニュートラル(政府方針)に向けた当社グループのGHG排出量削減目標の設定と対策及び実績管理(SBT認証取得)
  • 再生可能エネルギーの創出
    イ.
  • 社会(S)・ガバナンス(G) ⇒ 社会的責任の遂行

 <施策>

  • BCP、BCMの取り組み
  • 関連法規制や自然災害、重篤な感染症の流行といった事業のリスクを想定し、適切な調達先の選定と安定したサプライチェーンの構築について検討を継続してまいります。
  • 生産物流改革委員会での課題抽出とそれぞれのリスクを想定した生産体制の最適化、生産・物流システム機能強化などに取り組んでまいります。
  • 情報セキュリティ強化の取り組み
  • ウィルス感染、不正アクセス、自然災害、火災などによる情報漏洩、情報システムの遮断といった事業のリスクを想定し、重大な情報セキュリティインシデントの未然防止に努めてまいります。
  • 社内におけるデジタル人財の育成を強化し、情報セキュリティの強化を図ってまいります。
  • 人財育成に関する取り組み
  • 自社の生産拠点においては、自動化や作業負担軽減等による生産性の改善に取り組むとともに、プロ意識と専門性を持った人財育成を図ってまいります。
  • 建材メーカーとして商品開発に関する知見を持った人財を積極的に採用し、育成してまいります。
  • 外部コンサルを活用して、適正な評価とそれに応じた報酬制度を構築してまいります。
  • 社内環境整備に関する取り組み
  • 社員ひとりひとりに安全のルールの徹底、安全第一を最優先とし、無事故無災害に努めてまいります。
  • コンプライアンスの徹底とガバナンスの強化に努めてまいります。

以上